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大会自由論題発表要旨(向野正弘)

清代女訓書の動向― 朱浩文撰『女三字経』の考察―

中国女訓書の研究は、故山崎純一先生(桜美林大学教授・アジア教育史学会代三代会長)が確立に向けて努力された領域であり、主著『教育からみた中国女性史資料の研究―『女四書』と『新婦譜』三部書―』(明治書院、1986)は、伝統中国の女性の社会的・家庭的な位置付けを踏まえつつ、広範な調査と綿密な読み込みを通じてなった名著である。当時まだジェンダーの視点はそれほど強調されていなかったと思うが、私は後から、山崎先生のような研究がジェンダーの視点に立つ研究なのだと考えた。

惜しむべきは、先生の急逝によって、研究がうまく次代へと継承されなかった点である。私は、山崎先生に接し、「女三字経」に接することとなる。「三字経」の研究は「女児経」の研究へと繋がり、亀の歩みよりさらに遅い歩みではあるが、少しづつ清代の基礎的女訓書について、研究を進めている。

この領域の研究を始めた頃、日本の代表的女訓書である貝原益軒「女大学宝箱」を石川松太郎先生の『女大学集』(平凡社、東洋文庫)で読んだことがある。その時「なるほど、なるほど」「これはうまくできている」と感じた。しかし中国の女訓書を読んでも一向にそうした感じにならない。「なぜだろうか」と考えた。要するに、貝原益軒「女大学宝箱」の想定する女性は、私の幼少期に生きていた、農村を中心として、一家を切り盛りする女性達の有り様と一続きのものであるのに、中国女訓書の想定する女性達は、かなり異なる、と言うことに尽きると思う。山崎先生は、一夫一妻多妾制原理に基づく女性のあり方をよく理解してたと思う。伝統中国は家族制国家であり、家族と社会、家族と国家とを統合的に把握する視点が必要である。そうは思うのだが…。

今回取り上げる朱浩文撰『女三字経』は三字句の形式を用いながらも伝王応麟撰『三字経』の内容にとらわれることなく執筆された女訓書であり、女子の基礎教育書として興味深い内容を有している。本『女三字経』の内容の分析を通して清代の女子に対する基礎教育の動向の一端を考えてみたい。
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